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【麻酔科はきついのか】現役麻酔科医が感じる大変さと慣れる時期

麻酔科はきついのかを表すアイキャッチ画像 麻酔科医の仕事とキャリア

「麻酔科ってきついですか」。志望を考えている学生や研修医から、よく聞かれる質問です。答えるとすれば、きつい時期はあります。ただ、何がきついのかは時期によって変わりますし、思われているほどきつくない部分もあります。

こんなことが気になっていませんか
  • 当直や呼び出しの多さ
  • 急変に対応できるかどうか
  • 体力がもつかどうか
  • きつさがいつまで続くのか

先に結論を書きます。きついのは最初の数年で、その中身は体力よりも生活リズムのほうでした。

麻酔科がきついか気にする研修医のアイコン
研修医

麻酔科って、やっぱりきついんでしょうか。

現役麻酔科医のアイコン
麻酔科医

きつい時期はありますよ。ただ、何がきついかは時期で変わります。ずっと同じきつさが続くわけではありません。

この記事では、体力の面と気持ちの面に分けて書いたあと、思ったよりきつくない部分と、きつさが和らぐ時期についてまとめます。最後に、それでも続けている理由も書きました。現役の麻酔科医が実際に感じてきたことを、そのまま書きました。

麻酔科がきついと言われる理由

麻酔科がきついと言われる理由を表すバナー画像

麻酔科は、外から見てもきつさが分かりにくい科だと思います。急変に対応する科というイメージはある一方で、手術室にこもっているので何をしているのかはつかみにくく、手術中は座っていることも多いため、動き回って忙しそうにしている姿はあまり見えません。きついと言われる理由と、実際にきついと感じる中身は、少しずれています。きつさの正体は、時期によって入れ替わっていきます。

急変に対応する科というイメージ

麻酔科は、その場で判断して動く場面が多い科です。

血圧が下がる、酸素飽和度が下がる、気道が確保できない。こうした場面に立ち会うことが日常的にあります。外から見ると、これが一番きつそうに見えるようです。

  • 急変に立ち会う頻度
  • その場で判断を求められること
  • 代わりがすぐにはいないこと

ただ、これは慣れる部分でもあります。件数を積むほど、落ち着いて対応できるようになっていきます。

手術室にこもるという見え方

外来も病棟も持たないため、1日の大半を手術室で過ごします。

ほかの科から見ると、何をしているのかが見えにくい働き方だと思います。手術中は座っている時間も長く、動き回っている姿をあまり見ないので、忙しそうには映らないかもしれません。実際には担当する手術が変わり、組む外科医も変わるので、同じ場所にいるという感覚はあまりありません。

  • 担当する手術が毎回変わる
  • 組む外科医も変わる
  • 同じ場所でも中身は違う

1日の流れは【麻酔科医の1日】志望前に知りたい働き方とオンオフのリアルに詳しく書きました。

場所は変わりませんが、やっていることは毎回違います。

きつさの中身は時期で変わる

ここがいちばん伝えたいところです。

研修を始めたころにきついと感じたことと、数年たってからきついと感じることは、同じではありません。最初は手技や症例そのものが重く、慣れてくると今度は生活のほうに負担が移っていきました。

  • 最初はひとつひとつの症例
  • 次に働き方そのもの
  • 最後は慣れてしまう

きついかどうかは、どの時期の話なのかで答えが変わります。

体力的にきついところ

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体力の面で実際にきつかったことを書きます。立ちっぱなしがつらい、徹夜が続く、といった分かりやすい話とは少し違いました。きつかったのは、長時間の症例を任され始めた時期と、麻酔科の外で働いていた時期です。どちらも、家に帰れない日が続くことがきつさの正体でした。

長時間症例を担当する日

始めたころは、長い手術を担当するのがつらく感じることがありました。

長時間の症例では、同じ状態を保ち続ける時間が長くなります。慣れていないうちは、何も起きていない時間も気を張り続けてしまうため、終わるころには消耗していました。

  • 何時間も気を張り続けること
  • 交代のタイミングが読みにくいこと
  • 終わる時刻が見えないこと

慣れてくると、張り詰め続けなくてよい時間が分かるようになります。

標榜医を取るまでの外勤

これが、筆者にとっていちばんきつかった時期です。

医局の方針にもよりますが、麻酔科標榜医を取るまでは麻酔科としての外勤ができないことがあります。その間は救急外来や、ほかの病院の当直に出ていました。本業とは別の現場で、別の種類の緊張を使う時間です。

  • 医局によって方針が違う
  • 救急外来や他院の当直に出る
  • 本業とは別の緊張を使う

標榜医については【麻酔科医になるには】初期研修から専門医までの道のりと向いている人にまとめています。

家に帰れない日が重なることが、いちばんこたえました。

きついのは体力より生活

振り返ると、体力そのものが限界だったわけではありません。

手術そのものは、終わる時刻がある程度読めます。それでも帰りが遅くなるのは、担当したことのない症例や術式を見ておきたくて、自分の担当が終わってからも手術室に残るからです。翌日の症例の予習にも、できれば時間をかけたいところです。

そこに当直や外勤、麻酔科の当番が重なると、そもそも家に帰れない日になります。

  • 自分の担当が終わったあとの見学
  • 翌日の症例の予習
  • 当直や外勤、麻酔科の当番

体力の問題だと思っていたものは、生活リズムの問題でした。

気持ちの面できついところ

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次に、気持ちの面です。麻酔科は、その場で決めることが多い科です。そこが合わない人にはきついかもしれません。もう1つ、外から見えにくいのがコミュニケーションの量です。患者と話す時間は短いのに、人と話す時間は決して短くありません。

その場で決める場面の多さ

麻酔科には、あとで考えますという選択肢が少ないです。

目の前で起きていることに対して、その場で判断して動くことを求められます。じっくり調べてから方針を決めるという進め方が性に合う人には、この速さが負担になるかもしれません。

  • その場で判断を求められること
  • 判断を保留しにくいこと
  • 結果がすぐに出ること

ここが合うかどうかは、向き不向きがはっきり出る部分だと思います。

他科やオペ室との調整

意外に思われるのが、人とのやりとりの多さです。

手術の内容について外科医と意見を交わし、進行については手術室の看護師や臨床工学技士と調整します。ひとりで黙々と麻酔をかけている科ではありません。

  • 外科医との意見交換
  • 手術室の進行の調整
  • 病棟や集中治療室への申し送り

人と話すのが苦手だからという理由だけで麻酔科を選ぶのは、あまりおすすめしません。

患者と関わる時間の短さ

外来も受け持ち患者も持たないため、ひとりの患者と関わる時間は短くなります。

術前に会って、麻酔をかけて、術後に様子を見に行く。そこで関係は終わります。患者と長く付き合いたくて医師になった人には、物足りなく感じる部分かもしれません。

  • 外来や受け持ち患者がないこと
  • 関わりが数日で完結すること
  • 短い時間で信頼を得る必要

ただ、短い時間で信頼してもらう必要があるぶん、術前の関わり方は丁寧になります。

関わる時間が短いことと、関わりが浅いことは別です。

きつくないと感じるところ

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ここまできつい話を書いてきましたが、思っていたよりきつくない部分もあります。志望を考えている人には、こちらも知っておいてほしいところです。麻酔科は、意外と昼ご飯が食べられる科です。

昼ご飯を食べられること

ほかの科と比べて、食事をとる時間は取りやすいほうだと思います。

手術の合間に交代が入りますし、担当が決まっているぶん、ここで抜けるという時間を作りやすいからです。外来や病棟を抱えていると、昼をまたいで予定が崩れることがありますが、手術室の中は比較的読めます。

  • 交代の仕組みがあること
  • 自分の担当が決まっていること
  • 予定が比較的読めること

地味ですが、毎日のことなので効いてきます。

件数が自信に変わること

きつさは、経験した件数とともに減っていきます。

見たことのある状況が増えると、同じ場面でも身構える度合いが変わります。最初は何が起きるか分からないからきついのであって、起きうることが分かってくれば、同じ症例でも負担はまったく違ってきます。

  • 見たことのある状況が増える
  • 起きうることが予測できる
  • 身構える度合いが変わる

積めば積むほど楽になる、という実感はあります。

最初がいちばんきつい

これは麻酔科にかぎった話ではないかもしれません。

ただ、麻酔科は手技と判断の両方を同時に覚える時期があるぶん、最初の負荷がはっきりしています。逆に言えば、そこを越えたあとの変化も分かりやすいということです。

今きついと感じているなら、それは時期のせいである可能性が高いです。

きつさが和らぐ時期

きつさが和らぐ時期を表すバナー画像

では、いつ楽になるのか。筆者の場合は、麻酔科標榜医を取ったころでした。ただ、楽になったというより慣れてしまったという表現のほうが正確です。状況が変わったのではなく、こちらが変わったという感覚に近いです。

最初の1年から2年

いちばんきついのは、この時期だと思います。

手技を覚えながら、同時に判断も求められます。長時間の症例も重く感じますし、外勤が重なれば生活も崩れます。ここを越えられるかどうかが、ひとつの分かれ目になります。

  • 手技と判断を同時に覚える時期
  • 長時間症例が重く感じる時期
  • 生活が崩れやすい時期

この時期のきつさを、麻酔科全体のきつさだと思わないでください。

標榜医を取るころの変化

筆者の場合、変化を感じたのは標榜医を取ったころです。

理由は2つあります。ひとつは件数が積み上がって、症例そのものの負担が減ったこと。もうひとつは、医局によっては麻酔科としての外勤ができるようになり、働き方の組み立てが変わったことです。

  • 症例の負担が減ること
  • 働き方の選択肢が増えること
  • 見通しが立つようになること

きつさが消えたというより、先が見えるようになりました。

慣れという言葉の正直なところ

正直に書くと、だんだんこの働き方に慣れてしまった、というのが実感に近いです。

きつさがなくなったわけではなく、きついと感じる基準のほうが動いたのだと思います。それが良いことなのかどうかは、人によって受け取り方が分かれるかもしれません。

ただ、続けていれば必ず変わる時期は来ます。

それでも続けている理由

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ここまできつい話を書いてきましたが、辞めようと思ったことはありません。理由は単純で、麻酔管理そのものが面白いからです。もうひとつ、続けてきたからこそ手に入ったものもあります。麻酔科で身につけたものは、手術室の外でも効いてきます。

麻酔管理そのものの面白さ

いちばんの理由は、これに尽きます。

患者ごとに条件が違うので、まったく同じ麻酔は2つとありません。術前に計画を立て、そのとおりに管理できたときには手応えがあります。うまくいかなかった日も、次に向けて考える材料が残ります。

  • 患者ごとに変わる条件
  • 計画どおりに運べたときの手応え
  • 毎回あたらしく組み立てる面白さ

きつさの話をしてきましたが、面白くなければ、ここまで続いていません。

感謝が返ってくる場面

麻酔科は、患者と関わる時間が短い科です。それでも、感謝が返ってくる場面はあります。

満足のいく管理ができたあと、執刀した科から言葉をもらうことがあります。術後回診に行って、患者から直接お礼を言われることもあります。短い関わりのなかで返ってくるものなので、よく覚えています。

  • 執刀科からかけられる言葉
  • 術後回診での患者の反応
  • 短い関わりでも返ってくるもの

関わる時間が短いぶん、返ってきた言葉はよく残ります。

どこでも落ち着ける強み

続けてきて実感しているのは、緊急の場面で怖くなくなったことです。

救急外来などで急な対応を求められても、以前ほど緊張しなくなりました。いつもの麻酔導入と同じだな、と感じられるようになったからです。毎日やっていることが、そのまま別の現場で使えます。

  • 緊急の場面で身構えなくなる
  • いつもの手順に置き換えられる
  • 手術室の外でも使える

毎日の積み重ねが、そのまま緊急時の落ち着きになります。筆者が麻酔科を選んだ理由は【麻酔科医になるには】初期研修から専門医までの道のりと向いている人に書きましたが、そのとき期待していたものが、そのまま返ってきた形です。

麻酔科のきつさに関するよくある質問

麻酔科のきつさに関するよくある質問を表すバナー画像

志望を考えている人からよく出る質問をまとめました。施設や医局によって事情は変わりますので、気になる点は見学のときに直接聞いてみてください。きついかどうかは、どの施設で働くかでもかなり変わります。

麻酔科は当直が多いですか

施設によって大きく変わります。筆者の場合、きつかったのは麻酔科の当直そのものより、標榜医を取るまでの期間に出ていた外勤のほうでした。当直の回数だけでなく、外勤の有無も見学で聞いておくとよいです。

体力に自信がないと務まりませんか

体力勝負の科ではありません。きついのは体力そのものより、勤務が重なって生活のリズムが戻らないことのほうです。体力より、生活を立て直す習慣のほうが効いてきます。

急変が苦手でも大丈夫ですか

その場で判断して動く場面は確実にあります。ただ、最初から得意な人はほとんどいません。件数を積むうちに落ち着いて動けるようになる部分が大きいです。

患者と関わりたい人には向きませんか

ひとりの患者と関わる時間は短くなります。長く付き合いたい人には物足りないかもしれませんが、短い時間で信頼を得る関わり方はあります。関わる時間の長さと、関わりの深さは別のものです。

きついのはいつまで続きますか

筆者の場合は、標榜医を取るころに変わりました。症例の負担が減り、働き方の選択肢も増える時期です。最初の数年がいちばんきついと考えておいてよいと思います。

ほかの科と比べてきついですか

比べ方によります。手術室の中は予定が読みやすく、昼ご飯も比較的食べられます。一方で、その場で決める場面の多さは独特です。きつさの種類が違う、というのがいちばん近い答えです。

まとめ 麻酔科のきつさ

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麻酔科はきついのか。答えは、きつい時期があります。ただその中身は、長時間の症例と、標榜医を取るまでの外勤による生活の崩れでした。急変への対応や手術室にこもる働き方は、外から見えるほどのきつさではありません。それでも続けているのは、麻酔管理そのものが面白いからです。

この記事の振り返り
  • 最初の数年がいちばんきつい
  • 体力より生活リズムの問題
  • その場で決める場面の多さ
  • 意外と食事はとれること
  • 件数とともに変わる負担
  • きつさを上回る面白さ

今きついと感じているなら、それは時期のせいかもしれません。少し先の自分がどうなっているかを、誰かに聞いてみてください。

当ブログでは、麻酔科の現場で実際に行われていることを現役麻酔科医の視点で発信しています。1日の流れは【麻酔科医の1日】志望前に知りたい働き方とオンオフのリアルに、資格までの道のりは【麻酔科医になるには】初期研修から専門医までの道のりと向いている人にまとめました。疑問があればコメント欄で聞かせてください。

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